貢 献 と 恩 恵
家族が健診で「再検査」を申し渡された。
胃カメラ、初体験。
私なんか、とっくに経験済みだもんね。
と、意味もなく得意になる。
が、少々落ち込んでいる家族が気の毒になり、慰め始める。
私が受けた頃と違って胃カメラも、今は大分良くなってるみたいだもん心配いらないよ・・・うんぬん。
と言いつつ蘇る、苦い思い出。
そう・・・・・。
あの時私は、すっかり騙された。
検査当日私は、緊張しながら待合室の椅子に座っていた。
壁を見ると、患者向けのポスター。
内視鏡検査を受ける患者さんへ、から始まっている。
それによると、胃カメラはうどんよりも少し太い位。
技師の指示に従って、静かにしていればすぐに終わります。
という感じで、締められていた。
呼ばれて、中に入る。
椅子に掛けるよう指示され、小さなコップを渡される。
「のどの麻酔剤です。
飲み込まないよう気をつけて、のどのできるだけ奥に留めておいて下さい。」
冷たいゼリーを口に含み、顔を上に向けてじっと待つ。
空腹プラス緊張しかも、のどの奥に異物を置いたままじっとしいると、それだけで吐き気がしてくる。
まだなのぉ~?と心の中で、悲鳴を上げる。
その間にも、
はい、胃を動かなくする薬注射しますね~。
こちらは、緊張を解く薬です。
と、立て続けにプスプスと腕に刺される。
はいでは、こちらにどうぞ~。
やっとゼリー地獄から解放され、広い検査室に通され、ホッとする。
が、技師さんが真っ黒なホースと格闘しているのが見え、目玉が飛び出る。
あの・・・・。
「うどんより少し太いの」は、どこですか?
それ、どこからどう見てもホースだもん。
私が飲むのは、違うのですよね?
極度の緊張のせいか、のどの麻酔のせいか、声が出ない。
言われるままベッドに横たわり、マウスピースをくわえさせられる。
はい、入りまぁ~す。
ちょっと、苦しいですよ~。
うわぁぁぁぁ~~~・・・・・。
と思ったのは、一瞬。
入ってしまえばこっちのもの。
結構、楽勝の状態だった。
シュゴゴゴ・・・・、シュゴゴ・・・・と、ダースベイダーのような音を立てて進んでいく胃カメラ君。
若い人の○○は、きれいだなぁ~。
○○○も、ないですもんね~~。
と、本人に聞えるレベルで、会話をする技師さん達。
はい、ちょっと胃壁をつまむので、出血しますよ~。
えぇ~!嫌ですっ!
とも言えず、ただ横たわる。
キュル~と金属同士が擦れるような音がして、ホースの中を何かが進んでいくのが分かる。
程なく、何かをつままれる感じがして、ぷるんと離されたのが、分かった。
は~い、終わりました。
抜くとき、またちょっと苦しいですよ~。
すぽんっ!
お疲れ様でした~。
「大丈夫です。潰瘍の治った跡があるだけでした。」
あ、有難うございました。
よろよろと、検査室を出る。
そのまま出社したが、行きかう人が皆こちらを見る。
顔に出てるのかな?
鏡を見るが、特に人目を引くような顔色でもなし・・・?
後日、中学時代の友人とバッタリ会う。
何と彼女も、最近同じ病院で胃カメラの検査をしたというではないか。
彼女の場合は、数人の看護婦さんに体を押さえられての検査だったという。
ほー、私胃カメラの優等生だったのかも。
ちょっと、嬉しかった。
結果も特に異常はなかったそうで、お互い良かったねと言い合った。
が、その晩お風呂で「やられた」と気付く。
大した所見のない患者を胃カメラ検査に送り込み、お医者さんや技師さん達に経験を積ませるのが目的だったのでは・・・・?
患者は予約日まで心配しながら過ごし、検査で苦しい思いをし、お金まで払わされる。
むむ・・・。
ま、結果悪いところはなかったし、よしとしよう。
意地悪な見方しちゃったけど、違ってたら申し訳ないし。
月日は流れその病院は、不正経理などで摘発され、現在は経営母体が変わっている。
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お陰さまで家族の検査は無事済み、結果も異常なし。
医学の進歩に、感謝。
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