さえ恐れる、心霊スポットに潜入するという番組をやるとのこと。
夏の「怖い話」に飢えていたので、家族全員固唾をのんでテレビの前に並ぶ。
2か所あり、最初の場所に起きる現象と、過去についてまとめたVTRを見せられる。
いよいよ潜入という時、電話が鳴った。
誰も立たないので、仕方なく私が受話器を取る。
自分の知人からで、少し話しこんだ。
電話を切って席に戻ると、なんとほぼ終わっているではないか。
ま、もう一か所あるからいいやと、気を取り直す。
2か所目は中断されなかったものの、見ているうちに今まで感じたことのないイヤな気分になった。
画面の暗闇から、こちらに向かって、何かがゴゥッと流れて来たように感じたのだ。
直後、ひどい肩コリと、頭痛が。
あらら、電波に乗って、来ちゃったかな?
時間も空間も関係なく、波長が合うと憑依(?)が成立するらしいし。
夜になっても、おさまらず。
それならば、これでどうだと、浴槽に清めのためにお塩を入れて、ゆっくり浸かる。
すると、布団に入る頃にはあらかたおさまり、次の日には綺麗さっぱり直っていて、ホッとした。
嬉しいことに、「ごきげんよう」にも、稲川さんがゲストで来ていた。
この番組ではゲストさんは、3日連続で出演する。
稲川さんの第一日目、皆が期待するお話がいよいよ始まった時、玄関のチャイムが鳴る。
いいところだったのに・・・・。
荷物を受け取って、急いで戻るが、核心部分は過ぎてしまったようで話が繋がらない。
2日目、またもや稲川さんのお話のときに限って、電話が鳴った。
鈍い私も、さすがに「おかしい」と思い始める。
稲川さんのお話から、遠ざけられようとしているのではないか?
むむ。
今再放送中の「ほん怖」傑作選。
赤いスカートに、ハイヒール。
下半身だけが学校の廊下を歩く。
一緒に見ていた家族が、引っ越す前の自宅で同じものを見たと言いだす。
そういえば、私も見たな、と思い出した。
家族はスカートの色から靴を履いていたところもはっきり見たらしいが、私はスカートと脚だけが空中をスーと移動したのを覚えているだけだ。
あの頃は、金縛りにも頻繁にあった。
ものすごい圧力で布団に全身が押しつけられた。
体が布団を突き抜けて、畳にめり込まんばかりの勢いで。
うっすら目を開けると、ハンガーに掛けてあった制服が、左右に大きく揺れている。
すごい耳鳴りがゴォーッと回転しながら部屋中に響く。
その頃は両方とも夢とか、勘違いと思い、あまり気にならなかった。
ところが、家族の友人達が泊まりに来た時の話を聞いて、やっぱり「その家」になにか原因があるのではと、思い始める。
数人の友人達と、二間続きの部屋に分かれて布団に入った家族。
翌朝、友人全員が「一睡も出来なかった」と、やつれた表情。
どうして?と尋ねた家族に、友人たちはおびえた様子で口を揃える。
誰かがずっと、歩き回っていた。と。
何度も自分達の上を、またいでいったという。
最初、家族がトイレにでも行ったのかと思ったらしい。
ところが見ると、窓際の布団に寝ている。
一人家族だけが、熟睡して、何も気づかなかったらしい。
友人達は、朝食もそこそこに、逃げるように帰って行ったという。
ほー。それは初耳ですな。
踏まれなくて、よかったよね。と、感じたことを素直に口に出す。
そういうことじゃ、ないでしょ。
と、一緒に聞いていた母に、たしなめられる。
それが引き金になって、「そういえば」と芋づる式にその家で体験した不思議話が、次々出てきた。
その家は、埋立地にあった。
水のあるところは、集まりやすいというし。
そういう事情もあって、実は私も体験してたのかもな。
テレビが物足りないからという訳ではないだろうが、「怖い話」を、思いがけず自給自足してしまった。