洗濯機が置いてある脱衣所は、フローリングだが、たまに水洗いする。
デッキブラシで、床の上にたまった水を、浴室に向かってかき出す。
大まかに水がきれたら、乾いたバスタオルを何枚も広げて、残りの水分を吸い取る。
木に湿気が良くないことは、さすがの私にも、分かる。
やりたくて、やっているのではない。
ちょっとしたミスで、洗濯機から溢れるのだ。
我が家の洗濯機は、イタリアからやってきた。
当時、ドラム式の国産機がなかったので、工務店さんが扱ったことのある機種を入れてもらった。
タイミングが良かったのか、購入直前に、価格が10万円程下がった。
嬉しいが、安かろ悪かろでは、困る。
早速販売会社に、電話を掛けた。
ドラム式の使い勝手や、汚れ落ちの具合をあれこれ質問し、唐突に切り出す。
どうして、こんなにお安くなったんですか?
不意を突かれたからか、一瞬口ごもる相手。
思いついたように、「リラが暴落したからです!」と言い切った。
ユーロでないとこが、今思い出すと、時代を感じさせる。
理由はともかく、他に選択肢もないしと、こちらの洗濯機を設置してもらった。
心配した「悪かろ」もなく、思いの外運転音が静かで、毎日大活躍だ。
国産のように、タイマーやきめ細かい配慮には欠けるが、シンプルイズベストの使い心地に、満足している。
メンテナンスもしっかりしており、電話をするといつも、翌日には来てもらえる。
その時に、来て下さった方に、あれこれ質問すると、興味深いことや、取り説にはない使い方などを教えてもらうことがあって、楽しい。
国産メーカーのように、しょっちゅう新製品が登場することもないので、修理を依頼しても、部品の在庫がないというようなこともなさそうで、あと10年以上はお世話になりたいとおもっている。
が、最近、それは無理かも・・・。と思うことが続いた。
お風呂の残り湯を、洗濯に利用し始めてからだ。
給水口に、節水ポンプのホースを突っ込んで、洗濯が始まる水位まで待つ。
ついている訳にはいかないので、キッチンタイマーをセットする。
鳴ったら、ポンプを止め、洗濯機のスイッチを入れる。
これで洗濯が始まり、すすぎの音がし始めたらまたポンプのスイッチを入れに来る。
だけのシンプルさながら、うっかりすることがある。
キッチンタイマーの音を聞き逃し、ポンプのスイッチを止め忘れてしまうのだ。
すると、洗濯機内に、お風呂の残り湯がどんどん溜まる。
途中に、オーバーフロー用の逃げ口がないので、満水になると、給水口からどんどん溢れ出すのだ。
で、気づいたら、脱衣所が水浸し、という訳だ。
初めてこの有様を目にしたときは、パニックになった。
とにかくポンプのスイッチを切り、バシャバシャと水音を立てながら必死に、床の水を減らす。
床の処理が終わってから、ようやく洗濯機の方に気が向く。
とにかく、中の水を抜かなくちゃ!とスイッチを押す。
が、ウンとも、スンとも動かない。
機械部分まで、水が入り込んでしまった可能性もある。
もしかして…壊れちゃった?!
動かなければ、中の水は排水されない。
しかも普段は、洗濯槽に水がたまっているときは、扉は絶対に開かない。
あぁ!絶体絶命!!
と、一瞬思考停止。
とにかく、やれることをやらなくちゃ!と気を取り直し、ダメもとで扉に手を掛けた。
すると、ちょっとの抵抗の後、開かないはずの扉が開いた。
ジャーッと、勢いよく飛び出す、水。
慌てて、閉めた。
せっかく拭いた床が、また水浸しに。
が、これで水が抜けると、心底ほっとした。
下にバケツを置いて、何度かに分けて入り過ぎた水を抜き、スイッチを入れてみた。
動かなかったら、どうしよう。
と心配したが、なんと、何事もなかったかのように、動き出したのだ。
ほーーー。
私のしたことなど、想定内だったのか。
以降、いつものように、働いてくれている。
イタリアにも、私のようなドジな人がいるのかも。
と、安心したのがいけなかったのだろう。
反省したはずなのに、何度か同じことをやっている。
「いい加減にしてよっ!」って、そのうちスネてしまうかもしれないと、ヒヤヒヤしている今日この頃なのだ。