« かわらないのもつまらないし | トップページ | 新年度の幕開けは »

美 女 の 恩 返 し

きなこと黒蜜は

油断できない。

美味しいだけではなく、

大豆やミネラルたっぷりの黒糖なので、

体にもいい。

なのでつい安心して、

食べ過ぎてしまうからだ。

くず餅やわらび餅に

信玄餅・・・・。

中でも船橋屋のくず餅は、

一番身近だ。

小さな頃からよく食べているし、

私が好きなのを知っているので、

家族が時々(ご機嫌とりに)

買ってきてくれる。

しかし最近ふと気が付いた。

「なぜ、小さな頃からお馴染みなのか?」

我が家は「老舗」とか

「ブランド」とは

とんと縁がない家庭だった。

「ケンタッキー」や「ミスド」「31」すら全て、

他人様から教わったり頂いたりが、

初体験だ。

両親は、山形人カップル。

身近にあるものを素朴な料理に仕上げ

食卓に並べる母。

それに満足し

「お母さんの煮ものが一番美味しい!」

と顔をほころばす父の間に生まれた私ゆえ

当然の成り行きだろう。

しかし、

船橋屋のくず餅だけは随分早くから食していた記憶がある。

「はて、きっかけは?」

一人で考えていてもしょうがないので、

母に聞いてみた。

「母上はいつから、船橋屋のくず餅がお好きなのですか?」

いきなりぶつけられた質問に

母しばし沈黙。

「あぁそれはね、

保険屋さんがきっかけなのよ。」と

語り出したところによるとなんと、

プチ「わらしべ長者」な物語が。

それは、

昭和ののどかな時代ならではの

「隣人愛」が生んだストーリー・・・・。

私がまだ混沌とした記憶の中に生きていた頃、

我が家に定期的に集金に来てくれていた保険屋さん

現在は、「セールスレディー」と呼ばれる女性がいたそうな。

ある日の昼下がり

玄関のチャイムが鳴り、

その女性が立っていた。

いつものように「どうぞ」と

部屋に招き入れる母。

丁度、遅い昼食の用意をしていたところだ。

気軽に「ご一緒にいかが?」と尋ねると

彼女の顔がパッと輝いたそうな。

「いいんですか?!お昼、食べそこなって

お腹空いていたんです。」

「あらじゃぁ、丁度良かった^^」

しかしメニューは母らしく、質素なもの。

食パンにバターを塗り、

インスタント焼きそばの帝王

「アラビアン焼きそば」を挟んだだけのものだったそうな。

(さ、さすが我が母!

私だったら恥ずかしくて人に勧めるどころか、

隠しちゃってたよ・・・・。)

と思ったが、黙っている。

「頂きます!」

8枚切りの食パンに

たっぷり挟んだ焼きそば。

分厚くなったそれを両手で掴み口に運ぶレディ。

「美味しいですねっ!!」

と、大絶賛しながら完食したそうな。

「成程!母上の焼きそばパンは、

本当に美味しいですからね!」

と、小さな頃を思い出し頷く。

今ならちょっと躊躇する、

炭水化物と油脂の塊メニューだが、

当時私も大好きだった。

たっぷりのバターの塩味とコクが

焼きそばのソースと絡んで

後引く美味しさになるのだった。

思えば

栄養素やバランスよりも

美味しさを優先した傾向のある

母の手料理の数々・・・・。

(のお陰で私、

立派な肥満児だったのよね・・・。)

一人しんみりと心の中で頷く。

「そ、それがどうくず餅につながるのでしょうか?」

なんと彼女はお世辞でも何でもなく

純粋に母の料理に感銘を受け

大層感謝しながら帰ったそうな。

以降必ず

手土産に船橋屋のくず餅を持参し

謝意を表したそうな。

「す、すごいお話ですね・・・・・っ!」

ちょっと自慢げに話を終えた母に

ちょっとだけ母を尊敬した娘。

(あの焼きそばパン、

作って食べてみようかな・・・・。)


|

« かわらないのもつまらないし | トップページ | 新年度の幕開けは »

グルメ・クッキング」カテゴリの記事

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 美 女 の 恩 返 し:

« かわらないのもつまらないし | トップページ | 新年度の幕開けは »