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本気の見せどころ

先日生まれて初めて、入札というものに立ち合わせてもらった。

「な、何すればいいの?」

最初頼まれたとき、思わず聞いた。

「何も。」

ただ、見守るだけでいいという。

それならばと、了解。

当日は普段のカジュアルスタイルを封印し、やや緊張しながら会場に向かう。

「入札控え室」

という張り紙の部屋に入ろうとすると、「こっち、こっち!」。

後ろから慌てた声が。

その部屋は、入札をする業者さんのお部屋だと言う。

「あ・・そ・・ですか。」

恥ずかしさにうつむきながら、自分の席につく。

その日は、二つの入札があるという。

お隣の席の立会人さんは知人で、会社を経営なさっているので質問してみる。

「入札するのって、緊張するものなんでしょうね?」

「いやいや、ほとんど談合ですもん。」

「あ、やっぱりそうなんですか~。」

そういえば、お勤めしてるときよく頼まれたっけ。

「相見積もり」

一冊まるまる他社さんの社印が押された白紙の見積書を、渡される。

よく書き間違えて、怒られたっけ・・・・。

そうこうするうち入札の時間になり、業者さんたちがゾロゾロと入室してきた。

そんなことを考えていたので思わず、

(誰が、本命なのかな?)

と、観察してしまう。

(隣の席同士で和気あいあいお話しているあそこは、獲る気なしと見た!)

失礼ながら、女性事務員さんが制服のまま参加されているお姿にも、真剣さがないように見える。

(ここも、違うな・・・。)

不安そうにキョロキョロしている方は、結構本気っぽい。

(あの人と・・・・。)

背広姿で落ち着きなく、何度も座りなおしている人からも、緊張感が漂ってくる。

(このおじ様・・・・。)

作業服姿で前のめりになっている方からは、只ならぬ気迫が。

(そんで、この方!)

本気3社、あとは譲り組だな・・・。

などと、勝手に決めつける。

そして各社が入札箱に封筒を入れ、厳かに開封される。

途端に部屋の空気がピッと、引き締まった。

全社の入札額が公表され、

条件に合致した落札社の名が、最後に読み上げられる。

その瞬間、止まっていた時間が動き出したような小さな衝撃が、一同に走った。

呼ばれた会社の方がパッと顔を輝かせ、立ち上がる。

「有難うございますっ!!」

(おぉぉぉ、やっぱり背広のモジモジさん本気だったんだぁー!

よかったね~っ!)

「マジ」予想が当たって嬉しいのもあり、私も自然と笑顔になる。

今回、初めて知ったのだが、

「安すぎ」もダメだという。

入札って、安ければ安いほどいいと思っていたのだが、

公共の工事だからか、下限金額も設定されていたのだ。

その金額を下回った会社が2社もあって、なんだかもったいない気がした。

皆さんの緊張がうつったのか、何をしたわけでもないのに、終わってホッ。

つつがない工事の完了を祈りつつ、ハンドルを握った。

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