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美味しいコーヒーを飲む方法

母のチワワ2匹を、予防注射に連れて行った。

いつもは母と一緒だが、風邪をひいてしまったので、私一人。

「さぁ、お出かけだよ!」

と、車に乗せると、2匹とも大はしゃぎだ。

注射の会場は、毎年同じ。

数分で、到着する程近い。

散歩がてら歩いてもいい距離なのだが、行き先が「あそこ」だと分かると、揃って逃走しようとする。

それぞれがコンパクトボディとはいえ、本気を出すと馬力十分。

一斉に引っ張られたら、転びかねない。

それじゃ、キャリアボックスで運ぼうか。

しかし2匹は、チワワ界の横綱級の体格と体重を誇る。

二つを両手に提げて歩くと、すぐに手が痺れ感覚がなくなりそうだ。

という訳で結局、車という箱に閉じ込めて運ぶのが、一番安全確実。

「頭の中は食べ物で一杯。」

と思われる2匹だが、意外と察しがいい。

あれだけはしゃいでいたのが、距離半ばにさしかかると、「もしやこの道は・・・・。」

と、だんだん無口になって来る。

そして会場に着くと、すっかりおとなしくなっている。

うるんだ大きな瞳が4つ、恨めしげにこちらを見上げている。

「き、君達のためなんだからねっ!」

罪悪感を振り払うように、言い聞かせる。

外は、寒い。

着ていたブルゾンのジッパーを半分ほど下げ、「どっちからにする?」と問いかける。

「私からお願いします」

などというはずもなく、観念した2匹は、その場で固まっている。

「じゃ、私が決めちゃうよ」と

手前にいた「プリマ」をぐわしと抱き上げ、ブルゾンの中に入れる。

「ボンレスはちょっとお留守番しててね。」

ドアを閉めるとき彼は、ちょっとホッとした表情で「いってらっしゃい!」と、いう目をした。

対照的にプリマは目を見開いて、私のお腹の所で微かに震えている。

白衣を着た獣医さん達がいるテントには、既に数組のご家族が並んでいる。

大中小様々なワンちゃんがいて、面白い。

前進する度、自分の番が来ると分かって、落ち着かなくなる犬達。

先頭のワンちゃんが悲鳴を上げたりすると、たちまち最後尾まで動揺が伝わる。

プリマはもう、全身でガクガクぶるぶると、可哀そうな状態になっていた。

接種場所に近づくと、注射の受け方の見本が貼ってある。

「小型犬は頭と腰を飼い主の胸に押しつけるように、しっかり抱く・・・ね。」

ぷるぷるしているプリマを、ブルゾンの中から出そうとするが、「させるものか」と抵抗にあう。

早くしないと、順番が来ちゃうよっ!

と焦ったので、毛がジッパーに絡んで余計に難しくなる。

あわわ、あわわとしていると、「はい次の方~」と言われてしまう。

「体調変わりありませんね?」

と確認し、注射器を持って近寄る先生。

「あっ!こらっ!!」

最後の悪あがきで、体をくねらせ暴れるプリマ。

必死で押さえつつ、先生の手元に注目。

アルコールに浸した脱脂綿をちょちょっと毛にこすりつけ、「ブスーッ」と刺した。

「はい、次の人~」

毎年こうなのだが、毛をかき分けるでもなく、表面をサラッと撫でるだけで、消毒になるのかな?

と思いつつ、葉書と料金を渡して、車に戻る。

あれ程震えていたのに、車に着いた頃にはケロッとしているプリマを、「頑張ったねー。」とねぎらいつつ、「ほい、次」とボンレスを抱き上げる。

けれど、さすがボンレス年長者。

暴れることもなく、静かに終えた。

帰りの車中、ちょっと疲れをにじませつつ、苦難を乗り越えた安心感でハイになっている2匹。

家に着くと、待っていた母に嬉しそうに甘えている。

「2人とも、頑張ったよー。」

と報告すると、2匹とも「でしょでしょ!」と自慢げだ。

母にもらったご褒美に夢中でかぶりつく2匹を見てると、こちらも緊張がとけてホッとする。

いつもより、コーヒーが美味しかった。

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