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孫カール君

自慢ではないが、走るのが恐ろしく遅い。

よって、「運動会」とか「体育祭」というワードに、今でも軽い拒絶反応である。

プログラムが進み、とうとう「徒競争」の番がやってくる。

入場門から整列し、スタートライン前までゾロゾロと移動する。

石灰で引かれたライン上に立つと、もうやけくそモードに入っている。

いい訳をさせてもらえば、背が低いので、その分コンパスも短い。

加えて、全身に蓄えた、脂肪。

これで、速い方が、おかしいのだ。

一緒にスタートした友人達の背中を見ながら、懸命に走る。

ゴールで待つ委員さんが、肩で息する私を、順位の旗の後ろに案内してくれる。

見るまでもなく、ビリか、ブービーだった。

そんな人間から見ると、ボルトさんって、どうなってるんだろうと思う。

まるで、サイボーグだ。

しかも、レースの様子を見ると、まだまだ本気出してないぞ、という感じがアリアリではないか。

今後も、走る度に世界記録を塗り変えていく勢いだ。

やっかみがたっぷり入った気分で、思いつきを口に出す。

「何度もレコードを書き換えるの、面倒じゃない。」

「先手を打って、世界記録を『8秒位』ってしておけば、程なくボルトさんが追い付いてくるんじゃないかな?」

また、アホなこと言ってる。

と、家族の冷めた視線。

今度生まれ変われるとしたら、運動会でリレーの選手に選ばれる子になってみたい。

それはそれでプレッシャーかもしれないが、遅い子の気持ちはもう、充分味わった。

今度は、自分の胸でテープを切るという快感を、存分に味わいたいと思う。

朝夕の秋の気配とボルトさんが、切ない思い出を呼んできた。

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