座れば 牡丹 が 咲く
公共の場所で、待ち時間にソファに座り、お茶を頂きながら、ボーッとしていた。
ハッ!として、自分の足を見る。
精神的に、かなりリラックスしていたので、ボディの方も、存分に弛緩しているのでは。
膝、全開かも!
しかし、キチンと閉じている。
自分でも、意外だったが、人様にみっともない姿を晒さないでいて、ホッとした。
中学校の卒業式の練習の時のこと。
椅子に座っているときの姿勢を、細かく指示された。
深く腰掛けて、背筋を伸ばせ!
男子はぁー、両足を自然に開き、手は軽くこぶしをつくって、両膝に置くようにぃー!
女子は、両膝を揃えて、両手の指先を伸ばしぃ、軽く重ね合わせて、真ん中に置くんだぞぉー!
はい、はい。
命令に忠実なA型だ。
先生に言われた通り、早速姿勢を直す。
両膝を閉じて、手をそっと膝の上で重ねた。
が!いくらも経たないうちに、足がきつくなってきたのだ。
姿勢を維持しようとすると力が要り、プルプルしてくる。
当時、肥満児だった私。
全身の中でも、特に両太ももに、お肉がたっぷり集中していた。
よって座ると、椅子に押しつけられた脂肪がつぶされて、広がる。
両方の太ももがおしくらまんじゅうをするので、力を抜くと足が自然に開いてしまう。
なので、足を長時間閉じていようとすると、かなりな努力が必要なのだ。
周りの女の子達をみると、皆平然としている。
じゃまなお肉がないから、余裕なのだろう。
一人で、もぞもぞ、プルプルせざるを得ない私は、焦った。
壇上から今にも、「そこ!さっきから何してんだっ!」と叱責が飛んできそうだ。
こうなったらと、制服のスカートをグッと掴んで左右に引っ張り、プリーツを伸ばした。
そのまま両方の太ももの下に、スカートの生地を目一杯押し込んだので、ピンと張った状態に。
そうして、両足をスカートで包み込むことによって、閉じた状態をキープしててもらおうと思ったのだ。
しかし、太ももの反発は、ただ事ではなかった。
少しづつ、少しづつ広がってくる。
それをまた押し込んで、の繰り返しだ。
お陰で、練習が終わるころには、スカートはヨレヨレ。
寒い体育館なのに、じっとり汗ばみ、ぐったりと疲れてしまった。
どうしよう。
本番は、もっともっと、長時間。
超マンモス校だったので、同じような場面が、延々と続くのだ。
男の子に生まれれば、よかった・・・・。
中、高と同じような苦労をしたので、自分の足は「自然に開くもの」という感覚が染みついていた。
もちろん、足を組むなど、夢のまた夢。
見栄を張って無理に組もうとして、膝がおかしくなったという哀しい思い出もある。
という訳で、標準といわれる体形になって久しいのだが、ソファの上で、意識しなくても両膝がくっついていたのを見て、「痩せたなぁ」と心の底から実感した。
そういえば、いつも、パンタロンの内ももの生地が擦り切れて、穴が開いちゃってたんだよな。
夏、スカートでいると、こすれ合うももの部分が、赤くただれて痛くって。
よく、ガニ股で歩いてたっけな。
今思うと、それっていわゆる、「股ずれ」だよね。
芋づる式に浮かび上がってくる、太ももに関係する辛い過去。
どんよりと浸っていたら、何度も名前を呼ばれて、我に返る。
「はい」と返事をして、軽やかに立ち上がる。
太ってて、よかったなぁ~。
太っていないことの有難さが、誰よりも分かる気がするからだ。
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