堅 牢
家を空けるときに備えて、防犯グッズを見に行った。
まず、外回りに敷いてある防犯ジャリが、工事が入ったためあちこちに散り、踏み砕かれてしまったので、補充する。
窓には、振動や、こじ開けに反応する警報装置を選ぶ。
貼り付け式だけでなく、必要な時にだけ取りつけられるよう、吸盤式のものもあり、感心する。
種類も増え、全体的にお値段が、以前よりお値打ちになっている印象で、嬉しくなる。
一つづつ手に取り、じっくり見ていると、後ろに人が立ち止まる気配。
お盆の帰省シーズンが目前なので、皆気にしているのだろう。
場所を独占しては申し訳ないので横にどくと、数人が入れ替わり立ち替わり。
ケチで慎重というか、失敗したくない症候群の性で、最後まで粘りに粘る。
散々迷って、やっと選んだのは、たった一つ。
時計を見ると、あらら、もうこんな時間。
母と約束をしているんだったと、慌てて車に乗り込む。
母は、地元の人材センターに登録して、あちこちに派遣されて仕事をしている。
今は、お盆に向けて、お庭のお手入れの依頼で、引っ張りダコだという。
成程。
ここは、田舎&故郷。
「帰ってくる」人も、「帰る」人に負けずに多い、帰省先なのだ。
旧家のお屋敷や、農家さんの大邸宅にお住まいの方々は、ご自身でお庭のお手入れまで手が回りにくい。
そこで、家族や親戚が集まるまでに、庭木の枝の整理や草取りを、委託するのだ。
「家政婦は見た」
じゃないが、高い塀で囲まれて、普段外から様子を垣間見ることが出来ない大邸宅に、仕事で呼ばれた母に、「中、どうなってるの?」と聞けるのが楽しみで、行く。
一本数十万円で植えた木々の話や、意匠を凝らした細工の施された金具、昔造りの贅沢な建築様式。
ほ~~~。と、ため息をつきながら聞き入っている。
が、羨ましいというよりは、「大変そうだな」というのが、一番に浮かぶ。
だって、そういうお宅は、メンテナンスにお金がかかりそうだ。
何でもそうだが、初期投資で奮発すれば、あとは楽、ということはないからだ。
かけた分に比例して、お手入れにもお金がかかるものなのだ。
ということを、家を手に入れてから悟った。
もちろん、我が家はローコスト住宅。
「かかった」などと愚痴れば、大きなお屋敷に住む方からは、笑われてしまいそうだが。
そういうお家は、防犯も大変だろうなぁ。
窓もいっぱい。
お金があることがバレバレだから、目をつけられることも多そうだ。
警備会社と契約したりも。
「うちは、プチハウスでよかったな。」と、呟く。
「そうでも思わないと、やってられないよねー。」
ズバリ言われて、ムッとする。
いつか、母の毒舌に免疫を獲得するのも、目標だ。
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