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おおきな のっぽの

の腕時計の電池が切れたので、交換を頼まれた。

前回3つ同時に交換したために、切れるのも一緒だった。

それが教訓になり、今回は1つづつ時期をずらして交換するという。

時計の電池の交換は、ホームセンターなどが一番お値打ちだ。

しかし私は、いつも決まったお店に持ち込む。

今回は自分のものではないので、ホームセンターとの差額は自分がもつ。

信号待ちで、その時計店さんの前に停車する事がよくある。

っている間、店先に並んだ沢山の植木鉢に、自然に目がいく。

よく、お手入れされてるなぁ。と、いつも感心していた。

あるとき、父が病気になった。

じ時期、就職祝いに父から貰った、腕時計が止まっているのに気づいた。

思い出の時計を動かせば、父の病もいい方向に動きだすのではとの願いを込めて、電池を交換した。

、程なく止まってしまい、とても落ち込んでしまった。

そんなとき、一縷の望みをかけて、その時計店さんに持ち込んだのだ。

りましたよ」との声に、どれだけ嬉しかったことか。

今度は、父が「治る」番だと信じて、日々を過ごした。

けれど願いは届かず、父は他界してしまったが、その腕時計は今でも大切にしている。

そういういきさつがあってから、信号待ちに外から眺めるだけだったお店が、身近になった。

の腕時計を持って、久しぶりにお店に入る。

店内は、春のように暖かだ。

工房で時計の修理をしている御主人に電池の交換をお願いすると、奥さまがわざわざ顔を出して下さる。

そちらに、座ってお待ちください。

り心地のよさそうな、小さなソファを「ここが一番暖かいから」と、勧めてくれる。

ふんわりと受け止めてくれるソファの足元には、ファンヒーターの風が通るようになっていて、なるほどあったかい。

正面には、信号待ちの車が止まっているのが見える。

いつも外から眺めているのに、今日は内から外を見ている不思議さ。

お店の中には、たくさんのショーケースに並んだ時計や、家電製品。

そして、お土産だろうか、こけしや様々なお人形などが並んでいる。

ボ~ン、ボ~ン・・・。

不意に柱時計が時を告げだす。

どの時計の音かな?)

探すが、数十の壁掛け時計のなかから、見つけられないうちに音が止んでしまった。

カチャカチャと食器同士が触れる音が耳に飛び込む。

なんと、奥さまがお茶を出して下さった。

恐縮しつつ口をつける。

くて香ばしいお茶に、体の芯からほのぼのと温まる。

みきらないうちにご主人が「終わりましたよ」と声をかけてくれる。

返事をしようと振り向くが、もう時計の修理に戻っておられた。

御馳走さまでした。とお礼を申し上げると、奥さまがにっこりとほほ笑む。

3年持ちますからね。」と、寡黙なご主人が太鼓判を押してくれると、訳もなく嬉しくなる。

沢山の時計のチクタクの中にいるからだろうか。

ここは時間の流れが、外とは違うように感じる不思議な空間だ。

この雰囲気が病みつきになり、また来ようと思う。

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