め も り ~
家族が、健康診断でひっかかり、「メタボ講習会」に呼ばれて参加してきた。
バサッと投げやりにテーブルに置いたのは、講習会で配られた資料の数々。
どれどれ、と手に取る。
食事、運動、生活習慣の3本柱で改善するところは、予想通り。
しかし、資料だけにしては、不規則に膨らんだ袋。
逆さにすると、コロコロと何かが転がり落ちた。
小ぶりの箱が2つ。
家族のものゆえ、勝手に開けるわけにもいかないので、聞いてみる。
これ、何?開けてもいい?
・・・・・。
機嫌が悪いのか、個別指導もあったので、そこでこってり絞られ疲れたのか、口が重い。
了解とみて、開封する。
出て来たのは、万歩計と、メジャーだ。
分かりやす過ぎて、思わず吹き出す。
一緒に出てきた書類に、「ご家族のみなさまへ」という大見出しが。
そこには、細かな指導の終わりに、総括して指導者からの一言が書かれている。
「食後のおやつを減らず」
「みそ汁を、1日2杯にする」
小さな子に、噛んで含めるような書き方が笑える。
どういういきさつで、この結論に達したのか、問い詰める。
家族は、かなりぶっきらぼうに対応したらしいが、辛抱強く付き合ってもらったという。
一筋縄ではいかぬと踏んだ指導担当者さんは、小さな目標でないと家族を動かすことは出来ぬと見抜いたのだ。
そこでは、こんな会話が交わされたという。
「食後のチョコ5切れを、3切れにしましょう」
「お味噌汁1日3杯は飲み過ぎなので、1杯減らしてください」
意地っ張りで、人に指図されるとまずは反発する家族も、「これならできる」と素直に思ったようで、早速実行している。
「みそ汁はいらない」と言う。
ほほー。しかし、いつまで続きますかな?
この日から、いきなり家族の儀式が始まった。
お風呂上り、脱衣所でほこりをかぶっていた体重計に、メタボディが乗る音がする。
程なく、下着姿でのっしのっしと歩いて来ると、メジャーを手に取りドッカと椅子に座る。
ジャーーッとメジャーを引き出すと、ぐるりと腹の周囲を巡らせる。
え、えぇーーーー?!
びっくりして、言葉が出なかった。
だって、座って、しかも下着の上から測っているのだ。
普通、少しでも細く測ろうと努力するのに、何でわざわざ2重に太くなるようにするのか理解できない。
ボー然しているのをよそに、計測表に記入し始める。
書き終わると、おもむろに万歩計をいじり出した。
んーー。
熱心なのか、ずぼらなのか・・・。
なにか大事なものが抜けた健康管理に見える。
とにかくこちらは、自分にできることで協力しようと、今まで大皿盛りにしていたおかずを、個別盛りにした。
洗い物が増えて、面倒な時もあるが、いろいろな器が食卓に並んでいると、おかずが寂しくても、器がカバーしてくれるというメリットもある。
品数を増やすために、きんぴらやひじきの煮付けなどの常備菜も切らさないようにしていると、野菜をたくさん食べるようになって、メタボでない家族にとってもいい。
何が幸いするか、分からないものだ。
しかし、肝心のメタボディがスリムになる気配は、微塵もない。
こっそり見た記録シートの数字は、0.5㎜程の増減を繰り返し、トータル±0のまま、一月が過ぎた。
先生、やっぱり、目標小さすぎです。
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