« 目か 口か | トップページ | 後光の向こうから »

おねむのごほうび

家族を駅に送るのが日課だ。

昨年、夏、秋、初冬にかけ、毎朝見かける方がいた。

まだ始発が発車しないバスステーションのベンチに座っている。

じ場所、同じ姿勢、同じ服装。

スウェット素材に見えるパーカーのフードを深く被り、カンガルーポケットに両手を入れ、腰かけたまま寝ているようで、動かない。

季節が進む度、風邪をひいてしまうのではと、心配になる。

一度だけ、ちらりとお顔を拝見したら、思っていたよりもご年配に見えた。

ある冬の朝から今まで、ずっとおられない。

さすがにもう我慢が出来ず、暖かい場所に移動したんだと、ホッとした。

きな灰皿が、駅に置いてある。

時間までと、ふかしている方達に混じり、パジャマ姿のおじさまが。

えっ?!と思って見るが、やっぱり上下ともパジャマしか着ておられない。

ネルの暖かい生地だが、今の季節、上着も着ずにいられるなど信じられない。

けれど、ニコニコと、とても嬉しそうに煙草を吸っていて、ちっとも寒そうにしていない。

灰皿の周りに集まった人に、親しげに話しかけて、それは楽しそうだ。

煙草を吸ったことはないが、あんなに楽しそうに美味しそうにしていると、なんだか羨ましくなる。

あれ以来会わないが、今日もどこかですんごく美味しそうに煙をはいているに違いない。

まだ日も明けぬうち、緩急の坂が目白押しの道を、自転車で通勤するおじさま達がおられる。

じユニホームを着ているので、職場も同じとお見受けする。

お二人を密かに、「ブラザー」と呼んでいる。

若者でも苦痛に顔をゆがめつつ必死にペダルを踏む道を、結構ご年配であられるのに、ひょうひょうとこなしているように見える。

心臓破りの坂を登りきったところにある自動販売機で休憩するのが、お二人の日課らしい。

美味しそうに、缶に口をつけているのを見かける度、「いいなぁ」とホンワカする。

が家では、私の運動不足解消のために購入した自転車が、使われずに錆びかけている。

で通ると気付かないほどの緩い傾斜でバテテしまって以来、放置している始末。

に、ブラザーのおじ様達のことを、尊敬せずにはおれないのだ。

家族の都合で、いつもなら寝ている時間に起きなければならないときは、辛い。

、今日も朝から元気いっぱいで、お日さまみたいな方達に会えるのならそれもいいかと、ハンドルを握る。

|

« 目か 口か | トップページ | 後光の向こうから »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: おねむのごほうび:

« 目か 口か | トップページ | 後光の向こうから »