脱いだらすごいんです
「暑いね」と彼は言って、ジャケットを脱いだ。
中に着ていたシャツは薄く、下着が透けている。
「えっ?!」一瞬わが目を疑う。
「まさか、違うよね・・・・でも・・・」、何度見てもそうとしか思えない。
私の視線に気づき、ちょっとためらいつつ彼は言う。
「そうだよ。ブラだよ。」
なんて会話、あちこちで交わされてたりして。
男性のブラジャーがヒットしていると聞く。
実物を見たことはないが、レースやフリルはないと思いたい。
必要にかられて、しなければならない者の立場から申せば、していた方が断然気持ちいい。
ただし、ソフトブラに限るが。
なによりこの季節、しているとあったかいのが有り難い。
ホールド感も、安心につながる。
よって、一度身に付けたのをきっかけに、「していたい」と思う男性の気持ちは、頷ける。
が、「ブラを、してみたい」と思った感覚自体に、ちょっと引く。
思えば、女性ならではの特権は、魅力的なものが多い。
色とりどりの化粧品。
男性ものとは比べものにならない、ファッションのバリエーションに、グッズ。
女性が男性ものを身につけたりはOKなのに、逆は非難されがちだ。
しかし、男性がブラに、ほのかな憧れを抱いていたとは想像もつかなかった。
今はもっと早くなっているらしいが、小学生の高学年から中学にかけてブラをし始めると、男子に見つかってはやし立てられるので、女子の間では、恥ずかしさとともに、軽い恐怖心もあった。
なるほど。
からかっていたあの子達は、うらやましかったのかー。
ストレスの多い現代だ。
男性がブラをすることぐらい、考えてみたら、なんてことはない。
それで気持が晴れるなら、どんどんすればいいのだ。
ホールド機能を備えたトランクスやブリーフが人気だと聞く。
安定を求めるのは、人の性ということだろう。
先程の彼女の状況を、我身に置き換える。
我が家のある家族は、食べるのがやたらと早い。
しかも自己中で、食事中汗をかくと、他の家族がまだ食べている最中だというのに、脱ぎだす。
それにより、食事中なのに見たくないものを必然的に見せられることになる。
その家族がブラをしていたら、味噌汁を吹き出してしまうだろう。
だって、メタボディに、ブラは似合わない。
胸よりも、もっと豊かなそのお腹を寄せて上げた方がいいだろうに。
しかしそれでは、ただの腹巻きにしかならぬか。
もし、家族の誰かがブラをし始めたら、着け心地や理由を、根掘り葉掘り聞いてみたい。
いじめたり、からかったりせず、お洗濯もちゃんとしてあげるつもりだ。
男性は女性よりもナイーブだから。
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