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謙 虚 な 美 食

山形の叔父は、仕事を引退した後、新たな研究を始めた。

地元で採れる山菜や、ハーブなどの保存の仕方や、新たな料理法などだ。

大黒柱の威厳を保ちつつ、私などが遊びに行くと、サッと立ってお茶を入れてくれる叔父である。

、そっち方面に熱中するとは、思いもしなかった。

一時ブームになった、「男の台所仕事」は、女性からすると、大歓迎とは言い難い事情もある。

ダイナミックであることが「ウリ」であるから、材料の買い方も、キッチンの汚し方も大胆であることが多いからだ。

値段を気にせず買い物し、ドカンと作られた料理を持て余す。

片付けをしながら、「自分でやった方が良かった」と、奥様方の溜息が聞こえてきた。

ところが、叔父の趣味は、叔母達家族から大歓迎されているという。

まず、旬の時期に自ら山に入り採ってきたり、栽培した「幸」を使うので、材料費はかからない。

冷凍方法から試行錯誤し、解凍や料理の仕方を思いつくまま実践してみる。

以前はどうしても使い切れない材料が出てしまっていたが、叔父が管理するようになって、無駄がなくなったらしい。

来客があると、冷凍庫の材料から料理法までを、叔母に細かく指示。

いがけない季節に、大好物の山菜などを口に出来たと、お客様は大喜び。

メニューを考えなくて良い叔母も、大変助かっているという。

なんと、いい趣味であろうか。

ところで叔父の血液型は、周りを省みない突飛な行動が強調されがちの、気の毒な面があるB型だ。

しかし、叔父のこだわりは、どこまでも自分の興味を追及するというB型のいい面が表に現われているようだ。

凝り性というと、O型もお得意だ。

しかし、O型には、「教え好き」「自慢好き」がくっついてくる。

の成果を、相手の興味に関係なく、熱く語るというのが玉に傷だ。

叔父はあくまでも、人が喜んでくれれば大満足なので、決して恩に着せるようなことは言わない。

叔父が研究を始めて、大成功したものの中に、シソのふりかけがある。

が家にも届き、早速ごちそうになる。

ふりかけと言っても、入っているのはシソの粉末状のものだけだ。

しかし、ご飯に混ぜておにぎりにしたりすると塩加減も程よく、やたらと美味しい。

美味しいだけなく、シソは殺菌作用もあるので、毎日の家族のお弁当に、ゴマ塩の代わりに振り掛けている。

ご飯のまん中の梅干も、叔父のお手製で、真夏でも安心して蓋をしめる。

ある日もうふりかけがなくなりそうなので、電話でおねだりする。

電話の向こうではぶっきらぼうな叔父であるが、心は、行動で表現する。

去年の5倍のふりかけが、大量の梅干しとともに届く。わーい。

は、乾燥したシソの葉と塩を一緒にミキサーにかけて作るのかなと、勝手に想像していた。

に確認すると、シソの葉を塩漬けにし、作っているらしいのこと。

ー!そんなに手が込んでいたのかー。とありがたくなる。

今年は赤シソでも挑戦したとのことで、大きな瓶に詰めて送ってくれた。叔母が言う通り、とても美味しい!

叔父ちゃん、いつもありがとう!

叔父には言えないが、そのふりかけを、私は叔父の名前で呼んでいる。

今日も、家族のお弁当に「たけるおじちゃん」を振った。

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