« トマトマト | トップページ | 素顔のままで »

福音

高校生のとき、複数の友人からよくこう言われた。

昨日の○時頃、学校の前のバス停のところ歩いてたでしょ。」

うんにゃ。その頃は、家でマンガ読んでた。」

そーー!」

時間や場所はその都度違うが、目撃場所は学校周辺に限られていた。

ふくよかのピーク時代だ。長い髪を一つに結び、学生がよく着る紺のコート姿で歩き回っていた私。

全体像がよく似た、学校付近の中年女性が、遠目だと私に見えたのだと思うが、自分でも見てみたかった。

中学校の時は、「奥さん」と呼びかけられる体験までした私。

どんだけ老けていたのだろうかと、過去の自分が可哀そうでならない。

それもこれも、母のせいだと思う。

なぜなら、幼稚園時代の写真からして、予兆を感じさせる状態になっている。

何度も書くようだが、自分の幼少時代に満足に食べれなかった母である。

しかもその頃、10人家族の食事の支度を一手に引き受けていたので、4人家族の主婦になってもそのときの癖が抜け切れず、いつもおかずを大量に作り過ぎていた。

飢えに対する恐怖と、残したらもったいないの2つのプレッシャーが、「食べろ。食べろ」の連呼になったのだ。

小食で、自己主張のうまい兄弟よりも、割と素直に言うことを聞いた私が、貧乏くじを引くことになったのだろう。

そして、生まれつきの「落ち着き顔」。

とどめは、時代である。

のように、肥満児は、おしゃれができない環境であった。

ゆったりサイズの子供服など、どこにも売っていなかったのだ。

必然的に、中年女性のような服装に落ち着かざるを得ない。

そんな私を不憫に思ってか、母はよく服を作ってくれた。

しかし、悲しいかな、ヤングの流行には、疎かった。

よって、母手作りのオーダーメイドを着ても、異様に膨れたワカメちゃんの出来上がりなのである。

ならば、せめて髪型を、などの洒落っ気もない。

のおしゃれに、無頓着な両親のお陰で、暗~い青春時代を送ったのだ。

これではいかんと悟り、自分なりに努力を始める。

体型をなんとか人並みに近づけ、髪型や服装を整える。その努力に終わりはない。今も続いている。

会社の先輩は、30代半ば近いが、20代にしか見えない。

羨ましいと思っていたが、昔は老けて見られたのだという。

老け顔の人は、ある年齢に達して、それを超えると、逆に若く見られるようになるんだよ。」

なんと!我が老け顔一族に、そんなターニングポイントがあったとは!

いつか自分にも、その言い伝え通りの日がやってくるのだろうかと希望を抱いた。

しかし、程なく、自分がいくつに見られようが気にならない境地に達し、そんなことはすっかり忘れていた。

ところがある時期から、「きた」と思わざるを得ないことが続いたのである。

学生さんですか?」から始まって、いつの間にか、軒並み低い年齢で見られるようになっていたのだ。

嬉しいが、複雑だ。

もっと、青春真っ盛りのときに、この感激を味わいたかった。

|

« トマトマト | トップページ | 素顔のままで »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 福音:

« トマトマト | トップページ | 素顔のままで »