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おんがえし

幼き頃、幼稚園のクリスマス会で、「鶴の恩返し」をやった。クリスマス会といっても、キリスト教系の幼稚園だけに、力がはいっており、会場は区内の公会堂。立派な舞台を借り切っての発表だ。

セリフは、効果音とともに、スピーカーから流れる。園児は、合わせてマイムをする形式だった。

鶴の恩返しの、主役は、鶴の「おつう」と、彼女を助けるおじいさんである。おつうは、クラスでも長身の、スレンダーな美少女が、文句なく決定した。

一方のおじいさんは、なかなか決まらない。杖をついて歩くマイムを、何人の男の子にさせても、先生は納得せず、首を横に振り続ける。

溜息をついた先生が、なぜか私を指名した。「簡単なのにな」と思っていたのが、見抜かれたのかもしれない。私の動作を見て、輝いた先生の顔を、今でも覚えている。こうして、クラスで一番小さな女の子が、おじいさんになったのである。

練習は厳しく、泣きながら登園を拒否する私を、両親と先生があの手この手でなだめ、とうとう本番の日が来た。「クリスマス会で、サンタさんに会える」ことが、唯一の支えだった。

練習で一番厳しかったのは、クライマックスシーンの、おつうの正体を、おじいさんが見てしまうところである。障子から後ずさり、のけぞりつつ、持っている巾着を放り投げ、ばったりと倒れるのだ。

わった後の、先生の最高の笑顔は、劇がうまくいったからなのか、大仕事を終えた喜びからなのかは、分らぬ。今でも残る集合写真には、純白の鶴の衣裳の美少女の横に、まるで水戸黄門の私が映っている。同じ女の子なのに、この違いはなんなのか。

心のよりどころのサンタさんは、なんと、着替えている間に帰ってしまっていた。預かったと、両親から渡された、特大のブロックセットの箱が、涙で滲んだ。それでケチがついてしまったのか、主役になったのは、それが最初で最後だ。

ユニセフというと、何を思い浮かべるだろうか。「募金」、「カード」などだった私が、マンスリーサポート・プログラムに参加している。毎月、クレジットカードなどから、決まった金額を、自動的に寄付するシステムである。

送られてきた資料に目を通す。認識不足で、大変恥ずかしいのだが、この日本も、第二次大戦が終わった後、1949年から、15年間、当時の金額にすると、65億円もの援助を受けていたのである。そこには、ユニセフから送られた粉ミルクを飲んだ、山形県の少年の、お礼の手紙も掲載されている。粉ミルクとは、語り草になっている、脱脂粉乳のことだろうか。だとしたら、それと、ユニセフが結びついていなかった。

私にはのないことだが、自分のや、相続した財産を、ユニセフに寄付することもできる。相続税の課税対象にならないそうだ。

「恩はとおくから返せ」とは、亡き父の遺言の一つである。遅ればせながら、今、少しづつ始めたところです。お父さん。

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