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あじさいに捧ぐ

幼稚園では、あじさい組だった。クラスごとに、名札の色が違う。あじさい組は、透明のフレームだった。そのせいで、他の組の園児から、「やーい!とうめいぐみ~!!」などと、からかわれた。先頭に立ってはやし立てる、きく組の男の子がいた。あの頃は、和の花についての知識がなかった故、言葉に詰まるしかなかったが、今なら、こう、やんわり言ってあげたい。「菊なのに、なぜ紺色なのか?」と。

あじさいは、土のPHによって色が変わる。色が定まらぬという意味で、透明であったのだと思う。しかし、おそらく菊は、たんぽぽや、ひまわりに、黄色を取られたのだと想像できる。悔しくて、あじさいに八つ当たりしたのだとしたら、かわいいものだ。

その男の子とは、小学校から、中学校までの9年間、同じ学校だった。幼馴染などという、甘いシチュエーションを想像された方には申し訳ないが、不仲であった。彼と同じグループの男子から、小学校は「コロンブス」、中学校では、「パオパオ」と呼ばれていた。

太っていたために、ありがたくない名称を授かり続けたが、ある時期から変化が起きる。近所でも、ほとんど顔を合わせないおじさんなどから、「本当にあそこの娘さん?!」と、驚かれるようになったのだ。やせ始めたからだろうか。

フッ、さなぎが蝶になったってことかな。       なんちゃって。

親元から、自立して、初めて住んだアパートが「あじさい」だった。古かったが、駅からも近く、家賃も手ごろで、いい住み家だった。よく遊びに来ていた友人が、私が引っ越した後、空いていたら、入りたいと、本当に確認に行ったぐらいだ。

今、庭の「つるあじさい」が、見事だ。花は、額あじさいの原種のように地味だが、つやつやの明緑色の葉が豊かで、アイビーのように自分で這い上がっていく。ベランダの柱が、緑のタワーになっている。正式にはあじさいのグループではないようだが、手もかからず丈夫で、落葉性なので、窓辺などにお勧めだ。

雨のあじさいは、本当に美しい。その時によって、魅力を感じる色が違う。よって、一つに決められず、自分の庭には植えていない。ご近所のあじさい達に見とれるばかりである。

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